“準現実”とは何か?

ここでいう“準現実”(semi-reality)とは、現実でありながら、どこか現実から切り離されたように感じられる状態を指す造語です。

夜の街、無人の建物、水銀灯の光、移動中に通り過ぎる風景。
そうした光景が、ときに日常の一部ではなく、模型や映像、まだ確定していない世界のように見えることがあります。

準現実観測所では、そのような「現実でありながら、現実とは少し異なるものとして開かれる感覚」を、写真・音楽・CG・文章によって記録し、作品化していきます。


【以下、ややこしい話】

“準現実”とは、知覚する主体と、その対象である世界のあいだの、実体的な接続が希薄化した状態のなかで立ち現れる感覚、ということができるかもしれない。
ここでいう「接続の希薄化」は、さまざまな条件によって起こりうる。たとえば、光源のスペクトルが偏っていて色を正確に捉えられないこと、暗すぎて空間の全体を把握しきれないこと、あるいは、その環境がどのように利用できるのかが分かりにくいこと。こうした環境側の要因だけでなく、現実感が一時的に遠のいているなど、主体側の要因によって生じることもある。

そのような「接続の希薄化」が起こったとき、主体の中では、対象たる世界の状態への「意味づけの確かさ」が失われるように感じられる。本当に正しく見えているのか、この環境は自分に何を許すのか、そもそも自分はいまこの世界の中に確かに存在しているのか。
そういったことが不確かになり、何か一つの意味に収束する以前の「潜在性」が無言のまま支配的になるような感じがする。このような、「即時的な意味づけ」を失ったように感じられる時間や空間を“準現実”的な状態、とここでは呼んでいる。